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横林大々のブログ

小説家、横林大々のツイッターアカウントです。こちらでは横林の宣伝や雑記を掲載します。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』最高過ぎたので一回マジで観て欲しいという願いを込めて書いた記事

雑記

 

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(ドラマ『モテキ』のパロ) 

 

 

 

・良い映画だったので語らせてください

 

25歳でも起こりえるんですね。自分の感性にスパッとハマる様な作品 に出会う事が。

と言う訳で、今日は『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』について書こうと思います。

 

ゴリゴリにネタバレするので気をつけてください。

  

 

 

・夏っていいよね

 

まず、読者の人達に話しておかないといけないのが、僕が『夏』という設定大好きおじさんだということです。

本物の夏は嫌いですよ?太ってるんで。太ってる人間にはただただ地獄なんで。だけど『夏』の季語になるようなワードに僕は、めっぽう弱い 。

例えばタイトルにもあるような『打ち上げ花火』とか。例えば、後々物語の重要な舞台になる『プール』とか。(それも『夜の』って形容詞がつけば元気百倍アンパンマンです。)あとは『浴衣』とか、『夏休み』とか。

日本の夏って、不思議と『切なさ』と共にあるじゃないですか。独特の文化なのか分からないですけど。その夏特融の情緒ある切なさが作品に設置されているだけで作者の意図してない行間まで読みつくしちゃうおじさんなんですよ、僕。

 

その事がよーく分かる事例として過去に書いたエントリーなんかを紹介すれば例えば大好きな槇原敬之さんについて書いた上述の記事では『夏』『プール』『花火』『かき氷』という夏フレーズのロイヤルストレートフラッシュをたたき出した名曲『pool』という曲を絶賛しましたし(この歌マジでいいから一回歌詞カードと一緒にみてください)

夏休みに子どもに観て欲しい映画って上述の記事では『ピカチュウのなつやすみ』とか『学校の怪談2』(これは春休みが舞台ですが『1』が夏休み題材の映画)とか、夏関連の作品を紹介しまくっております。

 

で、更に僕の好みについて付けくわえさせてもらうと、そこに『ノスタルジー』が乗っかると、僕の精神は四つ揃ったぷよぷよみたいに浄化されます。ばよえーんです。

つまり『過去の視点を持ってる作品』ですね。

夏という過去の記憶を現在の立場で俯瞰してみてる作品?これもうマジリスペクトな訳です。

『pool』って歌は正に夏の回想の曲ですし、夏休みおすすめするって言ってる映画だって僕自身の過去を現代という自分が懐かしがっているような構図だともいえます。

つまり、もともと『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を楽しむ心の土壌は、僕自身に出来あがり過ぎなくらい出来あがってたと言えます。

 

つまり、そこから化学反応し、はじき出された感想は『最高』の一言。
僕、思いましたよね。「ありがとう、岩井俊二。事前情報も知らずに『リリィ・シュシュのすべて』みて、しにそうになったことは、帳消しにするよ」って。

(や、マジで、『リリィ・シュシュのすべて』も今日観た作品みたいなのを期待して観てたらヒロインの一人、坊主にされてたからね。なんであんな爽やかそうなパッケージにしたんだ、DVD。田んぼで泳がされるとか、聞いてないぜマジで。)

 

そうそう、上記のような事件があったので、岩井俊二は僕の中で『タブー』の棚に入れてたんですよね。「ヤバい監督」って。

でも信頼する筋から「いいですよ」ってオススメされて観たら、これが大正解で。

 

 

 

・まず、奥菜恵がヤバい。

 

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映画を観た時のメモ
奥菜恵、映画というフィルムに切り取られた美少女感ヤバすぎやな。』

 

まあ、この作品を語る上で、若かりし頃の『奥菜恵』を抜きに語れません。

映像媒体の素晴らしいところは、その『瞬間』を映像で切り取ることが出来ることだと思うのですが、それを踏まえても、この映画って、ほぼ半分以上が1993年頃の奥菜恵の『瞬間』を切り取っている素晴らしさだと思うんですよね。

 

メモ
『言葉のたどたどしさはリアルなのよ、大人っぽい見た目に反して。』

 

小学生っていうには大人っぽくて、だけど、大人っていうには子どもっぽさがあって(あの、お化粧するシーンなんか顕著ですよね)、そのアンバランスさの絶妙。

演技してる感じがなかったんだよな。本当に、あの年齢くらいの女の子に起こった出来事というか。

(まあ、だからこそ、奥菜恵を『女優』として見た時、この経験ってステータスになるのかなあ、とか思っちゃったくらい。子役ほど子役してなかったけど、だからこそ『リアル』を切り取ってる感じがして。作品としては大正解だけど反則すれすれ感はあるよなあ、みたいな。)

 

メモ
『こんな子おったよね。なんか子供って身体に大人っぽさがアンバランスに備わってるようなクラスメイト。そういう子って達観してる雰囲気が出てましたなあ。』

 

いたよね、あんなアンニュイな娘。僕も、もれなく馬鹿な男子だったんで「わっかんねーなー」とか思って遠巻きにみてた記憶があります。

その感じが顔の美しい造形と相まってバツグンに決まってましたね。

さてはクラスの男子。全員、奥菜恵好きやったな。

 

 

 

・もしもあの時……を叶える作品

 

メモ
『おー、時間軸戻るのかあ。』

 

で、この映画が面白いのは、一回進んでた時間が、ある場面から一気に一旦引き戻されることなんですよね。

奥菜恵が母親の都合で夏休みの間に転校することになるんですけど、それが嫌で奥菜恵はクラスメイトの男子と『駆け落ち』を計画します。

で、プール当番をさぼって泳いでた2人の男子がいるんですけど、そのどちらかが勝てば、その子と駆け落ちする、と奥菜恵

ちなみに男子は2人とも、奥菜恵が好きです。

結果として物語の主人公的ポジションの男子が負け、もう一人の男子が勝つんです。集合時間も、その男子に伝えていざ駆け落ちってところなんですが……

 

メモ

『この強がり、君は数年経っても数十年経っても後悔するんだぜ。』

 

あの時期特有の男子の強がりを見せて、もう一人の男の子は誘いをすっぽかすんですよね!もったいないなあ!もったいないなあ!

で、そここうしている内に奥菜恵の母がきて、連れ戻される、と。主人公の男の子は後悔します。「あの時、俺が水泳で勝ってたらなあ、 と」

 

で、ここから時間軸が「水泳勝負前」に戻るんですが……

この戻ってからが、なかなかのニヤケローニングサティスファクションでしてね。

大量殺戮兵器なのですよ。

  

メモ

『変なニヤニヤが止まらないな。』

 

水泳対決で勝利した主人公。見事、奥菜恵と2人で駆け落ちという名のデートです。知らないバスに乗って。奥菜恵は浴衣姿。手には大きな旅行用トランク。でさあ、この距離感とか話してる内容とかが、もう奥菜恵、支離滅裂なんですけど、本当そこがリアルなんです。それに主人公の男の子が困惑してる様も。

駅についたらトイレで着替えるとかいって(そこのシーンも少年視点のエロさを表現してて、またいいよね)奥菜恵、化粧して着替えるんですけど、「16歳に見える?」とか言って、見えねえよ、見えねえけど、 かわいいな、畜生め、っていう。

あと、電車来た時ね。チケット一回買いにいったのに、なにもせずに戻ってくる場面とかね。母親への罪悪感とか、小学生っていう等身大故に何も出来ない感じとか、もうニヤニヤ切ないなんですよね。で、結局また戻るっていうのも、なかなかどうして。

 

 

 

・あの頃の少年少女

 

メモ 

『実は少年たちだけのパートも良いんだよ。』

 

実はこの映画、奥菜恵に隠れてしまいがちですが、男子達の演技も本当絶妙です。あのねえ、なんか本当にリアルなんだよ。あんまり演技演技してるように見えないんだよな。表情も自然だし、なにより言葉に違和感がない。子役特有の言わされてる雰囲気は、こっちには伝わってこないんです。

男子の演技を見てると、ちゃんとこの子たちに世界があるように見えますよね。元からあったかのように。

あと、これは予測なんですけどね、この男子共、マジで奥菜恵好きだったんじゃないかなあ?いや、絶対好きになるでしょ、こんな美少女といたら。なんか特に、この好きって公言してた男子2人は、フィルムの外でも好きになってた気がするんだよな。その雰囲気があるのよねえ。

そんな気持ちもフィルムに永遠の時として刻まれてる感じがあって。たぶん、その手触りに僕は何度も感動していたんだと思う。

  

 心の声

『アカンな、夜のプールはアカンでえ。最高に拍車かけるでえ。』

 

この映画が最高なのは、このプールのシーンが最高だからです。奥菜恵が服のまま、夜のプールに飛び込みます。

もう、このシーンの楽しさや幻想的な雰囲気たるや……

夜の学校忍び込むシチュエーションを最初に作ったのってだれなんですかね、マジで賞あげたいよね、なんらかの賞金が出るような。

 

でね、このシーンので別行動の男子一同が好きな人を叫ぶ声とクロスフェードするみたいにプールのシーンになる場面があって、素晴らしいの。

こう「忘れられない思い出」を追体験してるみたいで。しかも、二つの思い出を、クロスフェード。贅沢な追体験。

 

あと、僕が、このシーンでひそかに好きなのは、奥菜恵が顔を何度もばしゃばしゃする場面。僕の予想でしかないですが、あの時、奥菜恵は涙を隠すためにあえて水を浴びたんじゃないかなあ、って思ったんですよね。そう捉えるとなかなか切ないよな。

 

 

 

・呪いの言葉

 

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心の声

『うわああ、奥菜恵、その台詞は罪やでええ!』

 

さて。物語のラストで奥菜恵は主人公の男の子に、呪いの言葉をかけます。おそらくこの言葉は主人公の人生の中で永遠に忘れられないものになったに違いありません。

自分のいない「2学期」の約束。

主人公の男の子が体験するであろう、夏休み明けの姿を想像すると非常に切ない気持ちになります。

 

プールの中での彼女の疑問。

「打ち上げ花火は横から見ても丸いのか平たいのか」

その答えを主人公は、ようやく見つけたのに、それを伝える事は、無くなってしまった、と。

 

やあ、もう、これ駄目だあ。

自分の感情をキャパ限界まで引き上げてくるよお。

 

こうなってくると、果たして主人公が、時間軸を戻して水泳に勝ったことが本当に良かったことなのか、と思ってしまうなあ。

このね、切ない記憶はね、荷が重いよ。あんな体験しちゃったら絶対忘れられないんだから。

 

だけど、この気持ちの切なさが、やっぱりなんだか心地よくて。

エンドロールを眺めながら「ああ、これは好きな映画になっちゃったな」なんて、ぽつりと思いました。

 

 

 

 ・終わりに

 

さあ、以上が、僕の感想。

 

個人的には、あの時間軸が戻る場面から終わりまでは全部、「主人公がこうあったらいいのにな」って幻想だったっていう見方も考えたのですが(あの夏祭りで先生に合うシーンからが、正史に戻るイメージ)、それだと、作品の感想も変わってくるので、ちょっと、それは無しにしました。

(でも、タイムマシーンとか人智を超えた存在とか特別な装置もないのに、時間軸が戻るっていうのは、ちょっと違和感があったんだよな。そこが唯一、映画の疑問点)

 

たぶん、好きな人にはたまらない作品だと思うので、お時間ある方は是非一度観てみると言うのはいかがでしょうか。

本当におすすめです。